A.遺産分けの合意は、必ず法定相続人の全員が合意しなければなりません。そのため、一部の相続人が行方不明である場合や、認知症となっていて判断能力がない場合は、そのままでは遺産分けの合意はできません。
一部の相続人が行方不明の場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人を選任してもらい、その管理人との間で遺産分けの合意をすることができます。一部の相続人が認知症で判断能力がない場合は、家庭裁判所にその相続人の後見人を選任してもらい、後見人との間で合意することが本来です。但し、遠い親戚同士の場合や後見人として相応しい人がいない等の理由で、後見人の選任申し立てが難しい場合もあります。このような場合、遺産分割調停を申し立て、認知症の後見人については特別代理人を選任してもらうという選択肢もあります。相続人の全員が既に死亡しているとか、相続放棄した等して、相続人が全くいないという場合もあります。このような場合、利害関係人等の申し立てにより、相続財産管理人が選任される場合があります。
相続財産管理人は、相続財産の範囲を調査し、プラス財産をお金に変えていきます。そして、相続債務も調査して、判明した負債を返済してきます。そして、負債を全部返済し、特別縁故者(Q18参照)への支払いを行ったあとに残金がある場合は、国庫に納めて手続きは終了します。