A.交通事故の発生から、最終的な賠償額が決まるまでの手順についてはQ1で説明しました。この最終的な賠償額が決まるまでの間に、被害者が賠償金の一部を先に受け取る場合があります。
このような賠償金の先行払いには、概ね4種類が存在しています。
①相手方(保険会社)の任意支払、②自賠責保険の仮渡金、③労災保険、健康保険等、各種公的保険による給付、④仮払いの仮処分による支払いです。なお、最終の賠償額決定時に、既に受け取った賠償金の精算を行います。
①相手方(保険会社)の任意支払
事故状況に争いがなく、被害者の過失も大きくないような場合は、相手方の保険会社が、病院に治療費を直接支払ったり、事故で仕事を休んだ分の休業補償を支払ったりします。これらの支払いは任意であり、相手方保険会社が何かと理由をつけて支払いを拒まれると、強制させることは困難です。
②自賠責保険の仮渡金
・仮渡金
被害者の当座の出費に充てるために支払われるものです。自賠責保険に対し、所定の資料を添付して請求します。一つの事故につき1回限り請求できます。支払額は死亡事故で290万円、傷害事故は、40万円から5万円まで、傷害の程度で決まります。
自賠責保険について:損害保険料率算出機構ホームページ http://www.giroj.or.jp/
③労災保険、健康保険等、各種公的保険による給付
通勤途中又は勤務中の事故については労災保険により、治療費や休業補償給付等が支給されます。健康保険加入者は、療養給付(自己負担分を除く)、傷病手当金等が支給されます。国家公務員や地方公務員については、各共済から療養給付や傷病手当金が支給されます。
④仮払いの仮処分による支払い
被害者が事故により就労できず、生活費にも事欠くなどして重大な不利益を被る具体的な危険性があるにも関わらず、相手方保険会社が任意の支払いに応じないような場合に裁判所に申し立てます。概ね6か月以内の時期の仮払いが審理の対象となります。これが認められると、相手方保険会社を強制させることができます。